えぞむかしよもぎ (蝦夷昔よもぎ) 

学名  Erigeron acris var. acris (var.foliosus, E.elongatus)
日本名  エゾムカシヨモギ
科名(日本名)  キク科
  日本語別名  
漢名  飛蓬(ヒホウ,fēipéng)
科名(漢名)  菊(キク,jú)科
  漢語別名  蓬、轉蓬(テンホウ,zhuànpéng)、長莖飛蓬
英名  
『中国本草図録』Ⅴ/2362・Ⅵ/2885参照

 Erigeron acris には、次のような種内分類群がある。

  エゾムカシヨモギ var. acris(var.foliosus;飛蓬・蓬・轉蓬)
 広く北半球の温帯に産
  ヒロハムカシヨモギ var. amplifolius 北海道・東北産
  ムカシヨモギ
(マンシュウムカシヨモギ) var. kamtschaticus(E.kamtschaticus,
         E.manshuricus, E.elongatus var.manshuricus, E.sachalinensis,
         E.acris subsp.kamtschaticus;堪察加飛蓬)
         
本州中部以北・北海道・朝鮮・華北・陝西・吉林・極東ロシア・アラスカ・カナダに産
  ホソバムカシヨモギ var. linearifolius(E.koidzumii)
 本州・四国産
   
 アズマギク属(ムカシヨモギ属) Erigeron(飛蓬 fēipéng 屬)については、アズマギク属を見よ。
 漢名の飛蓬(ヒホウ,fēipéng)は、強風が吹くと根から抜けて、株全体が地上をころころと転がることから。転蓬(テンポウ,zhuànpéng)とも云う。
 
(一説に、転蓬はアカザ科ホウキギの仲間という。)
 なお、漢名を(ホウ,péng)と呼ぶ植物は、ムカシヨモギ属の通称、ないしは就中このエゾムカシヨモギを指すものであり、日本で蓬の字をヨモギ Artemisia indica var. maximowiczii に当てるのは誤り。
 ヨモギ属 Artemisia の漢名は、(コウ,hāo)。
 和名ムカシヨモギについて。
 日本では、古来「蓬」を「よもぎ」と訓んできた。後に、その訓は誤りであったこと、真の「蓬」なる植物は別にあることが知られた。この時、それ
(真の「蓬」)を、むかし「蓬」を「よもぎ」と訓んでいたということから、「むかしよもぎ」と名づけたものだ、という。日本人の昔の誤解に上塗りする命名であり、はなはだ分りにくい。 
 属名は、ノボロギクのギリシア名 erigeron、語源は eri(早い)+geron(老人)。
 北海道・本州(中部以北)・極東ロシア・華北・東北・西北・四川・チベット・モンゴリアからイベリアまでのユーラシア大陸 及び北アメリカの、温帯・寒帯に分布。
 中国では、花序・果実を薬用にする。
 
   転蓬 本根を離れ
   飄颻
(ひょうよう)して長風に随う
   何ぞ意
(おも)わん 迴飆(かいひょう)の挙り
   我を吹いて雲中に入れんとは
   高高として上がるに極り無く
   天路 安
(いずくん)ぞ窮む可けんや
   類
(に)たり 此の遊客子の
   躯
(み)を捐(す)てて 遠く戎(いくさ)に従うに
   毛褐 形を掩わず
   薇藿
(びかく) 常に充(あ)かず
   去り去りて 復た道
(い)う莫(な)けん
   沈憂 人をして老いしむ
    
(曹植(192-232)「雑詩六首 其の二」)
 

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